50歳からのストラグル

もう結構年を重ねたなー、って言いながら、行政書士試験2024、TOEICなどなど頑張ります。くしゃエロ族の末裔です。

読書【鳥と港】書評から導かれしこの本。好きを仕事に、、、好きなことってなんだ?

“これから”の働きかたの物語

大学院を卒業後、新卒で入社した会社を春指みなとは九ヶ月で辞めた。所属していた総務二課は、社員の意識向上と企業風土の改善を標榜していたが、朝礼で発表された社員の「気づき」を文字に起こし、社員の意識調査のアンケートを「正の字」で集計するという日々の仕事は、不要で無意味に感じられた。

部署の飲み会、上司への気遣い、上辺だけの人間関係──あらゆることに限界が来たとき、職場のトイレから出られなくなったのだ。

退職からひと月経っても次の仕事を探せないでいる中、みなとは立ち寄った公園の草むらに埋もれた郵便箱を見つける。中には、手紙が一通入っていた。

「この手紙を手に取った人へ」──その手紙に返事を書いたことがきっかけで、みなとと高校2年生の森本飛鳥の「郵便箱」を介した文通が始まった。

無職のみなとと不登校の飛鳥。それぞれの事情を話しながら「文通」を「仕事」にすることを考えついたふたりは、クラウドファンディングに挑戦する。

引用:小学館 作品紹介ページ より

新聞の書評欄が好き

この「鳥と港」に出会ったきっかけは、新聞の書評欄です。

書評を読んだ瞬間に、この本を読もう! と思ったわけです。

書評を書いたのは、書評家の「大鳥若馬」さん。誰だか存じ上げず申し訳ないのですが、文体の根底には「人間讃歌」があるのでは? と思わせる暖かみが感じられます。

大鳥さんご自身の「働く」ことについての経験を書きながら、小説を紹介し、そして、「ギタリストのピークはギターを初めて弾いて感動した瞬間」という名言を織り交ぜながら(名言織り交ぜ系大好きですw)、最後に、「しんどさを感じたことがあるというあなたへ、この物語を贈りたい」で締められたら、もうイチコロ! 読みます! ってなりますよ!

今度から、書評で大鳥さんをフォローすることにします。

好きを仕事に

さてさて、就職活動をしていたころ、「俺って何が適職なんだろう?」って悩みませんでした? 

私は全くわからずw 

みんないつの間に決めてたんだろ、って感覚で、置いてけぼり状態でしたから、遅れを取り戻そうと、自己分析系の本を買い漁ってました。

そして、

  • 友達からあなたの長所と短所を聞いてみよう
  • これまででどんな挫折を味わったか書こう
  • こどものときに夢中になってやったのはなに?

なんてことを深堀りしていった記憶がありますが、分析を重ねてみても、これだ! っていう適職が出てこない。

そんな悩める私に、

「好きなことを仕事にすればいいんだよ」

って言う人もいたり、

「好きなことを仕事にしないほうがいいよ。仕事は適当にして、好きなことを趣味として思いっきりやれたほうがいいよ」

って言う人もいたり。

いろんなことを言われましたが、結局「好きなこと」がわからない私はどうにもならず。以来、いまだに「好きなこと」を探していますw

 

幸いにも、この本の主人公たちは自分の「好き」なことがわかっていて、何よりすごいのは、その「好き」を仕事にできたんです。

 

ただ、理想的だったはずの働き方が、どんどんと現実に侵され、苦悩に直面していきます。「好きなことを仕事にしているはずなのに」ね。

 

さて、ここから二人はどうするか? 

 

文通を仕事にするだけあって、言葉を武器にできる主人公たち。心の中に潜む葛藤や悩みを素直な言葉で言語化し、行動に移していきます。この言葉のやり取りが本当に気持ちいい。

 

そして、小説のベースである「文通屋」というビジネスも、クラウドファンディングをはじめ、プラットフォーム化等いろいろとアイデアが散りばめられていて、小説としての骨格を強固なものにしています。

 

「会社、燃えてないかな」と毎朝思うほど、会社勤めに疲れ果てていた主人公が、最後に出会えた心境とは?

 

春でも夏でも秋でも冬でも、この本を読んだその瞬間の最も心地よいだろう風が、ふわっと気持ちよくあなたのそばを横切るような、そんな素敵な読後感をぜひどうぞ。

 

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